2023九大【文系数学】解説・解答・講評
2023九州大学の文系数学の解説・解答・講評をお届けします!
理系数学については↓の記事をご覧くださいm(_ _)m
〔1〕
問題
考え方
交点をまたぐ2面積の「等積条件」の問題です。
2018の一橋大の5のように、3次関数のグラフで「連続する3交点」で出題されることが多いです。「絶対値関数のグラフ」というのはちょっと目新しい。
一番のポイントは、解答のように、
積分計算の前にインテグラルを結合して、計算個所を減らす
こと。解答で設定している交点の \(x\) 座標 \(\alpha\) を使う必要がなくなります。他にも、
- 最初に \(y\) 軸対称性から、半分にして考える
- 交点の \(x\) 座標(解答の \(\beta\))は強引に求めず、方程式に代入して、等積条件との連立方程式を立式する
といった処理が必要、かつ計算量も少なくないのでカンタンな問題ではありません。でも常套処理ばっかではあるので、今年のセットで言うとこれの完答はマストです。ってかこれ完答しておかないと点数がヤバイことになります…
解答
〔2〕
問題
考え方
処理としては、
(1)で接線を立式、\(y=-x\) との交点を求める
↓
(2)は座標平面上での「2直線のなす角」なので、
\(\tan\theta\) を加法定理から求めて計算
↓
正弦定理で外接円の半径OPを計算、(2)の結果からルートの中の分数関数の
分母を単一項にできるので、分数を分解して2次関数の最小に帰着
という常套処理ばかりのナイス問題なんですが…
個人的には今年のセットの中では一番イヤな問題でした(笑)
まず、
- 直線ABが \(x\) 軸となす角 \(\alpha\) の範囲が意外と複雑で、\(y=-x\) が \(C\) の原点での接線になっていることを利用しないと完璧な解答が書けない
- この範囲から、\(\theta=90^\circ\) となるとき(\(\tan\theta\) が定義できない、分母=0)があり、そこへの言及が難しい
ところ。「文系出題だから、\(\theta=90^\circ\) のとこは除いてくれてんじゃねーの?」ってことでかなり自分の計算を疑ってしまいました…
でも試験中はあまりキレイな解答にこだわり過ぎないこと!
ガシガシ計算して、分母=0の考察とか無視してでも(2)の答を当てましょう!
さらにイヤだったとこは…
- 全体的に分数計算が多くなるが、通分すべきかを迷う
- 結局最後の(3)は、通分した形でないと解法に気づけない
ところ。数学できる人ほど、
(分子の次数)≧(分母の次数) → (分子)÷(分母)
が徹底されているものですが、この問題では(2)の段階でこれを発動しても何のメリットもない、ってか逆に(3)で解法気づきにくくなるというトラップが(笑)
僕は「(3)は相加相乗平均なのかな~」って思って、(分子)÷(分母)使いまくって解答打ち込んでましたが、見事に裏切られました…結局この問題では、分数計算は最初から通分しておくのがベストです。おかげで(2)の計算式を全て打ち直すハメに(笑)
受験生のほとんどが既視感を覚える問題だと思いますが、(2)の分母=0の考察や(3)の解法に気づけた人は少ないと思います。(2)の答が当たってれば及第点。
解答
〔3〕
問題
考え方
受験生の誰もが既視感を覚えない問題だと思いますが…個人的には凄くカンタンに思えてしまいました…何でかってゆーと…
理系数学の〔3〕と一部共通問題で、(1)と(3)をカンタンにした出題だったから(笑)
理系数学の(1)では「\(D=0\) のときは \(\overrightarrow{m}\) と \(\overrightarrow{n}\) は平行で1次従属」って気づかなきゃいけなかった問題が、文系数学の(1)ではその部分の証明となっています。
こんなの個人的には、「\(\overrightarrow{m}\) と \(\overrightarrow{n}\) が共に \(\overrightarrow{0}\) でなく平行なとき、\(a\):\(b\)=\(c\):\(d\) となってこれは \(D=0\) と同値」ってだけで証明終了でいいと思うんですが(笑)
厳密には、比はどれかが0の場合は定義されないんで、無茶苦茶しっかり証明しときました。「必要十分条件」って言われてるので、逆(十分性の証明)も含めて。理系数学の記事ではボリューム的に省いちゃってますけど。
(2)は連立方程式を解くだけ!
文字が多くて混乱するでしょうが(笑)解答のように、
まず \(\overrightarrow{v}\) だけ求めるために、\(x\) 成分と \(y\) 成分をおく
↓
内積条件2つだけに注目して連立方程式を作成して解く
↓
同様にして \(\overrightarrow{w}\) も求める
というように、最初に4本等式を立式しないことが、混乱を防ぐためには重要でしょう。因みに理系数学の記事では、(2)の背景にある逆行列にまで言及していますが、2014年度以前の課程でも文系では範囲外だったので、この記事では割愛します。
(3)は、(2)の利用を意識して \(\overrightarrow{q}\) に \(\overrightarrow{v}\) と \(\overrightarrow{w}\) をかけとくだけ。理系数学の記事では2行で済ませちゃいましたが、行数少なくなり過ぎるんで、過程も詳しく打ち込んでおきました(笑)
解答
〔4〕
問題
考え方
これは出題しちゃダメだろ…
「虚部」は文系数学の教科書でも掲載されている言葉です。でも「共役」は文系数学の教科書では扱われない、ほぼ理系専用の用語です。文系でも頻出の1の虚数立方根 \(\omega\)(オメガ)の内容とは言え、ルール違反に思えます。せめて「共役は虚部の符号を入れ替えたもの」って説明は入れないと。旧帝大なんだからそこら辺はしっかり守って頂きたい。
というわけで、そもそも設定から文系には厳しい問題なんですが、一応解説を。
(1)は、「\(x^3=1\) の虚数解のうち、どちらを \(\omega\) としても、もう一方は \(\omega^2\) となる」という性質の証明とほぼ同じで、これを文理共通数学のテキストで入れてる(もちろん「共役」なんて言葉は使わずに)めぐろ塾↓的中。
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(2)以降は「n回試行の確率」の<方針1>「n回の過程を具体的に考える」、<方針2>「確率漸化式」のうち、<方針2>「確率漸化式」です。
(2)は、\(z_k=0\) の場合と \(z_{k+1}\) の場合でルールが分かれているので、\(z_n=0\) となる確率を \(p_n\) とおいて、\(p_n\) と \(1-p_n\) から \(p_{n+1}\) がどのように作られるかを考えるだけで、典型。
冒頭で言った通り、設定から文系には厳しい問題なので、ここまでで及第点だと思います。
(3)の時点で、\(z_k=0\:,\:1\:,\:\omega\:,\:\omega^2\) からさいころで1~6が出た場合の24通りの状況を表で整理、(3)では表を2回使って答を、(4)では表を1回使って連立漸化式を立式します。解答では(4)にて、初項と表の \(\omega\) と \(\omega^2\) の対等性から、これらの確率が等しいことを用いて設定する数列を減らしました。「連立漸化式を解くときは、和・差をとってみる」というクセがある人であれば、その後はすんなり解けるでしょう。
全体的に、2023千葉大の6と非常に良く似た問題でした。こちらは「共役」ってゆーほぼ理系専用用語を使っていない良問なので、2024以降に九大を受ける人は、この問題を解いてみた方がいいと思います(笑)
解答
講評
理系数学と同じく…
解答方式 | 試験時間 | 大問数 | 難易度 |
---|---|---|---|
記述式 | 120分 | 4問 | 難化 |
2022も難しかったんですけどね、それよりも難しいです。
今年のセットで言うと、
既視感を覚えるであろう〔1〕・〔2〕から解く
↓
〔2〕(2)の分母=0の考察とかしないでいいから、〔1〕~〔2〕(2)の答を当てる
↓
〔3〕・〔4〕の部分点を獲得
するのがベストでしょう。
解説中でもディスった通り、〔4〕はほぼ理系専用用語の「共役」を知ってないと部分点獲得が厳しいんですが…
〔3〕(1)なんかは、成分が0になる場合とか気にしないで比で説明しちゃっても大部分の点数はもらえると思いますし、(3)は(2)ができてなくてもその結果を使って解けちゃいます。
前の設問が証明形式ならば…
↓
その証明の成否に関わらず、証明結果を使って次の設問は解ける
ってことは覚えておいてください。めぐろ塾↓の授業では一か月に1回くらいのペースで話すくらい大切なことです。
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君の大学受験が最高の結果になることを祈ってます!